崎山先生の院内報からです。
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●母こそ名医なり(33)

<放射線量等、データ(数値)にとらわれる弊害>

崎山小児科院内報147号より
(東京都府中市・2011年6月発行)

東日本大震災から2カ月が経過しました。
直後に発生した福島第一原子力発電所の事故も、まだ収束する見通しが
立っていません。
おそらく現場の職員は鋭意努力していることと思いますので、
安全な回復を願うばかりです。

私は原子力の専門家ではありませんが、それでも不適切と思われる内容が
数多く報道されています。
「原子力発電所の周辺で放射能の観測典を増やして、
そのデータをただちに公表せよ」と発言した政治家がいましたが、
これは不安をあおるばかりで、国を治める立場というより、
世の中を混乱させるだけの発言としか思えませんでした。

ある地点での放射能レベルが高いということがわかったとしても、
その高さの質がわからないと評価ができません。
放射能が観測される持続時間、高くなった要因(原子炉の新たな事故なのか、
風向きの影響なのかなど)、
放射性物質の種類(ヨウ素、セシウム、ウラン、プルトニウムなど)、
影響を受けるのが地面か植物か動物か人なのか、
それが人だとした場合は、その年齢や性別、
防護服を着ているのか、生活しているのか、一過性に通り過ぎるだけなのかなど
さまざまなデータによって意味することは異なります。
データばかり注目して、本質を見落とす典型的な事例です。

小児科診療の場面でも、子供の体温を1時間ごとに熱を測って記録している方が
ときどきおられます。
熱の推移がより正確に把握できるという意味はありますが、
病気を診るという点では、それほど必要ありません。
体温を測定する時間を、もっと他のことに使ってあげたほうが
よさそうな気がします。

熱が高いから病気が悪化した、
熱が下がったからよくなってきたという評価は短絡的です。
高い熱が続いていても、突発性発疹という病気であれば
薬は要りませんが、
熱が低くても髄膜炎なら絶対に入院加療です。
熱は病気の状態を間接的に示す一つの指標でしかないのです。

数字を示されて何となく納得したり、数字だけで不安になったり、
焦ったりすることは間違っています。
数字の内容を理解できている人が意味づけをして初めて
数字に利用価値が生まれます。
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