震災後も一度借りている文芸春秋2011 5月号、
再度借りて読んでみた。
藤原作弥氏の文章を転載しておく。(仙台市出身、元日銀副総裁、作家)これまで、東北への理不尽な歴史と、東北人のすばらしさがあちこちで語られていたのは、根っこでつながっていたということ。

(前略)

私の父は言語民俗学者。フィールドワーカーとして、今回被災した各地も探訪して回り、その土地の方言やイタコと呼ばれるシャーマンの口誦譚を採集して歩いた。幼少時代、私もよく父のお伴をして、各地を巡ったものだ。

東北のイタコや、呪術師として祭祀をつかさどるよりも、黄泉の国の死者の言葉を口寄せ(伝達)する霊媒師の仕事を専らにしている。父は特定個人の死者の言葉を聞くのではなく、その土地に伝わる昔話(いい伝え)をイタコを通じてその土地の死者の口から聞きだし、民間伝承を集めていた。

東北の歴史は悲しい。憑依のイタコを通じての昔話は、風土記や地誌の伝える歴史そのものではなかったが、例えば、平安初期、北上川流域を治めた蝦夷の族長・アテルイが征夷大将軍・坂上田村麻呂と勇敢に闘い敗れ、斬首にされた史実と似た祭文のエレジー。さらには平泉に逃れた源義経が藤原秀衡に裏切られ衣川館で自死するストーリー。

しかし、イタコの物語る話のほとんどは不特定多数の無名の東北の庶民の悲劇だった。風水害、寒冷害、疫病、旱魃害、それに伴う大飢饉。農村の間引きから生まれた水子地蔵や座敷童子の由来・因縁譚。そして大地震や大津波。中でも、青森、岩手、宮城野太平洋岸、三陸地方の大津波の被害の状況はかなり具体的で、中には明らかに貞観地震(896年)と思われるエピソードもあった。こうして悲劇は先祖代々、後の世まで口伝されtきたのである。

東北の歴史の悲劇性と言えば、さらに、中央から白河以北一山百文と蔑まれた明治維新時の東北戊辰戦争があるが、いつまでも恨み節で悲嘆に暮れているわけにはいかない。

さて、本特集「われわれは何をなすべきか」の趣旨に従えば、今こそ数々の悲劇を乗り越えてきた東北人の勤勉、忍耐、堅実、篤厚など北方縄文人のDNAを生かすときである。まず日本全体として今なすべきことは、悲しすぎる大災厄の教訓に学ぶということだろう。

(後略)




「北方縄文人のDNA」、私はこの言葉にピンときました。

私が以前住んでいた茅野市というところでは、すぐ近くから「縄文のビーナス」という国宝が出土しており、八ヶ岳山麓、縄文時代に栄えていたところです。黒曜石の流通拠点にもなっており、裏山に入ると、黒曜石のかけらが落ちたりしていました。いわば、「縄文王国」を築いていたのです。

それが、出雲地方から鉄を携え農耕文明をもった弥生民族がやってきて、先住民族と戦い、征服します。その神様が、諏訪大社の神とされるタケミナカタノミコトという神様です。それまで栄えていたミシャグチ信仰と混淆、いや包含する形で、諏訪の地には諏訪信仰が根付きました。

その文化が、今でいう関東辺りまで広まっていったのだと思います。

東北は、長らく、弥生文化からは離れたところにいたか、もしくは、もともとも文化を支配されることなく息づいていた、最後の縄文の土地だったのだと思います。

歴史の教科書で、坂上田村麻呂のことを英雄みたいに書かれているけれど。ふーんと洗脳されていた自分がおかしいですね。今となっては、あれに東北としては異議を唱えたいところです。東北民俗学者の各氏、そういうところから発信してほしいけど。

私は、卒論で「シャーマニズム」を扱いましたが、起源は、北方、シベリアあたりの霊媒師「シャマン」です。沖縄にもユタという霊媒師はいますが、私が授業で習った感覚では、青森のイタコ・ゴミソ(神様)とは毛色が違う気がしますね。ユタについては、心理学講座で沖縄フィールドワークをしている先生の講義を聞いたので、こちらも興味引かれたんですが、なんていえばいいかわからないんだけど・・・ユタが陽気でゆったりというイメージだとしたら、イタコは、青色というか、悲しげというか。なんというか・

私がお会いしたイタコさんたちは、やはり「悲」「哀」をまとった方々でしたね。語りも物悲しい。ひきかえ、憑依ではなく、病気癒しを専門とするカミサマは、慈愛に満ちたお方でした。研究で話を聞きに行ったのに、私の相談まで乗ってくれたりして。

人は苦しんだ分、悲しんだ分、深くなる・・・というけれど、イタコやカミサマに象徴されるように、苦難が当然、それを乗り越えるのも当然というDNAというのが、東北には流れているのではないかという、この藤原氏の指摘は、実に私には納得のいくものでした。

東北は今苦しんでいるけれど、きっと負けないで静かに歩んで乗り越えていけるのだと、1年たってまたかみしめているところです。





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