軽い薄いと悪評ありだが、意外に内容ある
中谷彰宏「なぜあの人は人前で話すのがうまいのか」
聞き手側からすると、効率よく話されると、「なんかあの人、むだな話をしなくて」と精神的に納得いかない。お客様から支持され、たくさんワインが売れる人気あるソムリエは、ワイン以外の話「この間こんな映画を見たらどうだった」「京都に行ったらこうだった」「ディスニーランドに行ったらこうだった」・・がたくさん出てきます。ワインの話しかできないソムリエは、結局うんちくを押しつけている印象しか与えなません。

語り手が緊張すると聞き手も緊張する。両者がリラッククスした状態のほうが心を開けてコミュニケーションがとれます。お医者さんはコミュニケーションをとるのが苦手です。ビビらせることによって自分の言いたいことを一方的に伝えようとすると、患者さんからの評判が悪いのです。お医者さんは「はい、どうしました?」という時にまず患者さんを見ません。何かを書いているわけではなく見ないという意思表示です。お医者さんに「ちょっと風邪気味なんですが」というと「素人が勝手な判断をしない。なんで風邪ってわかるの」、ひどい症状の時は「どうしてこんなになるまでほうっておいたの」と怒られます。上から下への高圧的な言い方は相手に好かれないので、コミュニケーションではありません。
商品を売る時も、同じです。モノを買ってくれる、契約をしてくれることではなく、「この人は感じがいい」と好きになってもらうことが大切です。「この人ともっと話をしたい」と思われることです。御ムリごもっともな正論を話しても、「また話したい」と思うとは限りません。「この人にあとで話しかけてみたい」と思われる人になればいいのです。

流暢に言葉が出るより、言葉以外の部分、呼吸を合わせることや観察力の方が大切なのです。


覚える人は、相手から与えられるのを物欲しげに待っています。発展途上国の国の中には、ODAに「お金ください」と言っている国があります。この国はいつまでたっても貧乏なままです。「お金は要らないから、自分で稼ぐ方法を教えてください」という国が伸びていきます。覚えるだけの人は「お金をください」「答えを教えてください」と言うのです。私は、セミナーでは、答えの導き方だけ話し、答えは話しません。覚えようとしている人は、「じゃ、この場で私はどういう答えを言えばよかったんですか。模範解答を教えてください」という姿勢でいます。常に模範解答を探すような生き方です。模範解答は最も回答に近いようですが、正解ではありません。評価の高かった人の発表を真似するのは最悪です。他人の自己紹介を覚えて話しても意味がありません。覚える人は「じゃ、中谷さんはどう話されるのですか。教えてください」と必ず聞きます。私は気づき方を教えているのです。それなのに「参考のために」模範解答を聞かないと落ち着かない人がいるのです。



人の話を真剣に聞くことができない人がいます。その人は自分も話することができません。それは演説ではなく、コミュニケーションだからです。人の話を聞く姿勢を持つことで、相手とのコミュニケーションのルートができるのです。

コミュニケーションがうまいか下手かではありません。コミュニケーションに興味がないということです。発言者の話を、「自分だったらどうするだろう」とハラハラしながら聞く人は、コミュニケーションに興味があるということです。「コミュニケーションが苦手」という意識のある人はたくさんいます。苦手なのではなく、興味がないのだと気づくことです。興味がないことは勉強しても見につきません。興味があって苦手な人は成長します。たとえ上手でも、興味のない人は成長しません。セミナーや授業も、コミュニケーションの一つの形です。

コミュニケーションで重要なのは、「何を」伝えるかではありません。「どのように」伝えるかなのです。伝え方が勝負なのです。コミュニケーションの勉強は、結局は伝え方の勉強です。必要な情報を過不足なく最低限の時間で伝えることは、「あなたにとってメリットになる情報はこれです」という「情報」そのもののほうが勝っています。
でも、高度情報化社会は、情報が勝つ世界ではありません。高度情報化社会と、情報化社会とでは、大きな違いがあります。情報化社会は、「情報」が買った時代です。高度情報化社会は「情報」より「伝え方」が勝つ時代です。同じ情報を「誰が話すか」「どのように話すか」という伝え方が9割を占めます。情報が1割で伝え方が9割でコミュニケーションは決まります。「自分が話している情報は絶対間違いない」と怒るのは、20世紀型で滅び去る人たちです。それよりも「これは情報としては新しくない。けど、伝え方が違うからいい」と、お客様は伝え方をとるのです。

世の中には同じモノがたくさんあります。「自分が考えたアイデアが一番だ」と思いこんでいる人がたくさんいます。世の中すべての人が思いつくアイデアは、ほぼみんなが同時に思いつくということを忘れています。新商品が出たときに、「あんな商品、自分の方が先に考えていたのに、なんであいつが評価されるの。オレの方が先にプレゼンしたんじゃない」と怒る人は、単にプレゼンの仕方が下手だったのです。「自分の方が先に思いついた」というのは間違いです。アイデアは、世界中の人が同時に思いついています。結局、伝え方が上手な人、伝え方に一工夫した人が一番先に形にします。夢を実現できる人は、一番最初にアイデアを思いついた人ではありません。そのアイデアを相手側がわかるように伝えた人が夢を実現できるのです。


【感想】

いくら話の中身が正しくても、言葉を尽くしても、
相手には、その人の行動、性格みたいなものなど、文字以外の部分のほうが伝わってしまう。




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