養老孟司氏の本からです。
大事なところをメモです。
いいことは人に知られないようにやりなさい 人に知られずやることが実はボランティア

◆科学者であれば独創的な仕事をしなければならない
 独創的とは何か、他人にわかることじゃなきゃダメ。
 他人にわかることというのは、伝えた途端に共通の考えになってしまう。これのどこが独創的だよという話になってしまう。
 自分が先に思いついたか、相手が先に思いついたかの差だけ
 知的所有権は無意味、あれは単に知的先取権だ。

◆先が見えないで不安でしょうがないっていうのは、それは明らかに不健康
 そんなことで悩むんだったら何かしなさい
 「何かしろ」といっても「わからない」でしょうが「悩むのも才能のうち」

◆人間が何かを知ろうとするときに、本当のことはわからないんじゃないか
 それを映像化したのが芥川龍之介の「藪の中」
 
 ところが、科学の世界では自然科学者の99%までが、事実というものは追究出来る筈だという信念を持っている。そこにあるのは「科学的」という表現ですが、本当に起こった事実は1つしかないということ。
 
 NHKは「公正・中立・客観」という、これは非常に科学的。
 しかしこれは「人間の立場」ではなく「神の立場
」。

 それはどこまで可能か、真相は「藪の中」

◆科学では「叙述している人間は消える」=だれが客観的に言ってもそうなるが、私は「そこで本人は消せないでしょう」と言っている。どうしたって言っている人の意識を消すことはできない。それを聞いている人の意識を消すこともできない。それは言葉で言っている以上、意識の世界からは決して出ていない。意識の世界を消すわけにはいかない。これはある意味、当たり前じゃないかという気がする。現代の日本の中に、一神教的傾向が非常に強く入り込んでいると私は感じている。「自我」の問題、「公平、客観、中立」の問題、いわゆる「科学性の問題」も。

◆憲法9条「武力はこれを永久に放棄する」、人間が文章でそんなこと入れちゃいけない。
 「永久に」とか「絶対に」・・・その分、実用性がなくなってしまう。 宗教の用語なら結構だが、法律のように実社会に与えられるものに「永久に」ということを、だれが言えるのか、あんな言葉を入れたおかげで、動きがつかなくなった。本気じゃないね、「永久」って入れたのは。恐らくそれを強調のつもりで使っている。「言葉」を正確に、「表現」を厳密にしないということは、:その表現を守るか守らないか、守れるか守れないかということと密接に結びついてくる。

◆明治時代、女性の平均寿命が男性より短く、乳幼児死亡率が非常に高い傾向にあった。それが大正10年を境にひたすらに死亡率が下がってくる。その年度に水道の塩素消毒が始まった。水周りをよくしたら、たちまち女性と子供の健康状態が急速によくなって、以後ひたすら寿命が延びる。で、とうとう男を追い抜いた。
 つまり女性の福祉に一番貢献したのは、フェミニズムでもなければ戦後の民主的な改革でもない、水道の塩素消毒だ子供も丈夫になるから、逆に言うとお母さんの負担がなくなる。
 先端医療どんなにお金をかけたって、恐らく一般の人の幸せは増えることはないだろうと私は思うこういうことの方がはるかに大切だが、医者はそういう評価をしない。医学の場合には一般に向けていいことをしても、医者は評価されない。

 今、世界でえい児死亡率が下がって、人口爆発が起こっている。あれは国連がスポーツ飲料を徹底的に普及させたから。実はほとんどの幼児や子供の死亡原因は、下痢による脱水。とりあえずスポーツ飲料だけ飲ませておけば、もつ。そのうちかなりの子どもが治る。
 そういうインフラの方がはるかに大事。動物だってもともと元気なものなんだから、よほどの条件を与えない限り、20歳ぐらいまでの若い人っていうのは死なない。幼児は別、はしかとかいろいろな伝染病があるから。そこを通りぬけてしまえば、もう死なない。
 実は薬なんて必要ない。スポーツ飲料でいい。発展途上国に対しては、インフラ整備するしかない。医療チームを送りこんでいるのはむしろデモンストレーション。医療で救われるのは一部。

 医療の場合、仮に予防して病気がなくなっても、これから先に起こることについてはわからない。酷いことが起こっていないから、その予防のおかげかどうかわからない。起こらなかったことについては、誰も金を払ってくれない。一番いいのは、いったん起こしておいて、ひどいことになりそうだなというところで止めてやるといい。だけどそれはなかなか難しい。だから医者の世界では予防は人気がない。

 よく考えてみると、現代社会というのは起こったことにしか報酬を払わない社会。要するに病気で死ぬ人が多いから治療に駆けつけてくるわけ。本当のことをいうと、いまさら駆けつけても役に立たない。
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